親しみの京都、赤山と六々堂さん。
紙展への飛行、伊丹空港へ
十六、七年前になりましょうか。
京都の鬼門に位置します赤山禅院の御護摩堂、そちらで三年間、直さんは紙展を奉納されました。
『千日回峰行』の修行僧が下りていらっしゃいます赤山禅院は、比叡山の京都側の麓にあります。
私自身は、2001年に直さんの紙に出会いましてから紙のめぐみ開店までの五年間、紙展へと向かい続けました。染め描かれた紙の中に在りました直さんと紙との対話に耳を澄ます。あの時の私に希望を与えてもらったように思い返します。
そうして五年が経ち、一つの決意と共に、吾子の手 もみじ色付く御護摩堂紙展へと、赤山禅院を再びお訪ねしました。
意をお伝えする。
開店前よりとてもお世話になっておりました紙舗直さんのスタッフへ、この赤山禅院紙展の場にて、紙のめぐみなるものを開店したい旨を聞いていただきました。あの時、目に見えていた景色を今も思い出す事が出来ます。
相手に意をお伝えするという事は、実体の無いものにもアイデンティティはあり、私の頭の中 心の中を離れ、それ自体で動き出す始まりと思います。
赤山禅院は紙のめぐみの始まりの一つであります。
この度も、境内のお山をぐるりと歩き、御滝の清風を浴びた後、不動明王の御前に長居の私たちへ、親しみのお坊さん圓俊さんは一言くださいました。何故その事が分かってしまうの? 思わずにはいられません。
節目毎、そうはお話しせずとも、ありがたい事にお心に留めていただきお香を届けてくださいます。
和歌山での紙展、京都での紙展、また、そうでない時にも、この禅院を守られます圓俊さんのおられる赤山を訪れたくなります。
そして、京都 六々堂の前森孝之さん。親しみの目を持った人。以前に、和歌山での紙展の際、ほんの束の間、ご挨拶させていただいたことがあります。何年か前より、六々堂さんは初秋のこの季節に紙展をされます。先日、初めてお伺いする事が出来ました。表情は柔らかく、親しみの空気で迎えていただきました。もともと知っている人のように感じられました。六々堂さんの紙にまつわるたくさんの嬉しいお話を直さんからお伺いしております。同じように、私の事を直さんが話してくださったそうで、お互いに知っている人になっていました。
知らぬ者同士を繋げて下さっていた直さんと紙たちのおかげ様で、六々堂さんの紙展に身を置くことは、新しく喜ばしい感じがしました。
親しみの京都はご縁繋がる人の中。赤山と六々堂さん。訪れたい場がひとつ増えました。
心よりご紹介申し上げます。
赤山禅院 セキザンゼンイン
京都府京都市左京区修学院開根坊町18
http://www.sekizanzenin.com
六々堂 ロクロクドウ
京都市中京区麩屋町通二条上る布袋屋町503番地
https://www.rokurokudo.jp
雲の上の帰途、心あたたかく
追伸
あの時…帰りの伊丹空港へ向かうため、赤山の側から京都駅へ30分程のバスに乗りました。
意をお伝えしてほっとして、小春日和が気持ち良く眠ってしまいました。目を覚ました時、どれくらい乗っていたのでしょうか、まだ市街地にバスはありました。ありましたと言いますのも、紅葉の京都です、どの道も大渋滞。バスも車も走っているというより、少しずつ動いている状態だったのです。京都駅に着いて、タクシーで高速道路をぶっ飛ばして頂いて、空港に到着したのが定刻の15分前。私の前で幕は下ろされました。なけなしのお金で翌朝の飛行機代を支払えば、今夜の宿代はもうお財布にはありませんでした…それでも世は親切で、帰ってから送ってくれたらいいとホテルに泊まらせていただきました。
だから余計に赤山には、懐かしい愛おしい思いがあります。
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