KAMI NO MEGUMI
今日、青い空の下、緑の風の中で、紙と自分の手で仕事ができる喜び。
二十年間、多くの人々に支えていただきながら、「染描紙センビョウシ」と共にここまで歩いてきました。
感謝の気持ちで胸がいっぱいです。
情熱の先へと、歩き続けます。
19 Apr. 2026 in Los Angeles
紙のめぐみ二十周年を迎えて
「 落書 ラクショ 」
想いが壁の上にある
直さんの工房の壁には、いくつもの言葉が記されています。
染め描く手に持つ刷毛による文字…
2B鉛筆の筆跡…
水彩絵の具で色がのせられた風景…
その中の一つに私は胸が熱くなります。
森の緑が見える窓の横にそっと書かれてありました。
まだ白い雪野原が映る三月の光の頃の一文です。
一字、一字、と刻むように記されたその言葉は、ちょうど手のひらに収まる大きさにありました。
この落書を、私は自分の手のひらの内に、心の内に大切にいただいています。
この情景をお伝えしたく思い、今回の「刻ノ大陸 Ⅵ」では、直さんに鉛筆を持っていただきました。
刻ノ大陸、六冊目、
この小さな一文に込められた深くて大きな一念を、モエレ沼公園での展覧会「擦文」にて知っていただけることを嬉しく思います。
刻ノ大陸 Ⅵ 「楽書」 概要
文 直筆 染描 坂本直昭
発行日 2024年6月7日
限定 20部
価格 15000円 (税込)
企画 仕立て 発行 紙のめぐみ
紙のめぐみを始めた時、紙のための、お客様へのための、「手」を持ち合わせていませんでした。
開店のために用意できたことは、紙舗直の直さんの紙をおくことだけでした。それは紙のめぐみという店のすべて、ですのでそれでよいのですが、この紙を持ってしてどのように生きていきたいのか、どこへ向かって歩いていくのか、ハッキリした目標などは何一つなかったのでした。
ただただ、生きているこの素晴らしい紙たちと生きていたい。この紙たちと一緒に何処までも行ってみたい。この紙たちを人との間に置いて繋がっていきたい。私が何も知らなくても、直さんの紙と一緒ならそれが可能だろう、そう思っていました。その思いを今も抱いています。
この世になかった「紙のめぐみ」という店が、地球上に、誰かの意識の中に、存在し始めたのでした。
紙のめぐみの目を通した紙と手を、少しずつ必要としていただけるようになりました。
19年の間に、お客様が紙のめぐみを育ててくださいました。紙を扱う手となるよう機会を与え続けてくださいました。
現在、2、3か月おきにロサンゼルスへ向かう自分がおります。
直の紙「染描紙」と刷毛と「手」を携えて。
一歩一歩、歩いてきました。
今ここにいます。
「自由に生きなさい」という思いやりの中にいられると、面白いことが起こってきます。想像を超えてきます。
きっとここからの一歩一歩にも何かがあるでしょう。
「楽しいね。」
そう歩いていきます。
直さんの紙たちはライヴです。生きています。
生きているんです。
紙の白い命には
「自由に生きなさい」という
思いやりがある
直
穏やかさを
楽しさを
優しさを
しあわせを
愛を感じることを
どんな出来事にも、捉えられる二つの側面があり、
そのどちらを意識におくか
それを選ぶことができる
良い気分となる思考
そうでなくなる思考
生きているよろこびを
紙の白い命の上に生まれた
どこまでも心を広げてくれるような刷毛ストローク
紙の白い命の上に生まれた
それは人生の春の光
直の紙「染描紙せんびょうし」の上で繋がる
私たちの心と心
豊かなる心
心に生まれた新しい気持ちを大切に・・・
黙祷
心をおだやかに保つ
静かに、ゆったりと落ち着いて
そうして深くなる呼吸に耳を傾け、力を抜き、身を委ねる
そうすると、体の奥の方から満ち満ちるあの感覚へ
しあわせという名のあの場所へと辿り着く
友は、子供のころに見たその夕陽を思い浮かべると辿り着くことができるそう
私は、夏の夜の虫の声
静かに思い、体中に羽音をよみがえらせるといつでもあそこへ行くことができる
行く、辿り着くというより、『ここにふたたび』という感覚
あたたかい気持ちはここにあったという感覚
昨年の暮れ、3週間ほどロサンゼルスで仕事をしていた時です。
予定よりも予想よりもかなりハードスケジュール、ハードワークで、多く細かな紙貼りでのお仕立てを目の前にした夕刻のこと。
ギャラリースタジオの中ではありますが、あちらでも季節は冬
頭はフリーズしたまま、黙々と手を動かし、貼ることに没頭するこの耳に聞こえてきました。
Ririririririri Ririririririri…
そう、秋の虫の声です。
体中によみがえります。あのしあわせな愛の感覚です。生命のエネルギーと呼べるような、源ソースと呼ばれるような、そういったしっかりと安定した活力と繋がっているような感覚です。
大丈夫だよ。心配ないよ。そう言われているようでそんな中でも自分を保つことができました。そうして普段の3倍速くらいに手だけが勝手にしあわせに動いてくれました。
今 目の前で起きている現実、現状から少し離れて、耳を、心を澄ます
眠ってしまうのもいい、猫を撫でるのも、しあわせなことを妄想するのもいい
思考することを休ませて
そうして自分の気持ちがほんの1ミリ軽くなるところへ
そこから広がる、次へと繋がる、いつかきっと
忘れないで
それはいつでもすでに叶って待っています。
2024年12月31日
紙舗直 直さんの『新月言』より
『 平和 祈り続ける 』
わたしの中をいつも平和に