20年目の始まりに思うこと
紙のめぐみを始めた時、紙のための、お客様へのための、「手」を持ち合わせていませんでした。
開店のために用意できたことは、紙舗直の直さんの紙をおくことだけでした。それは紙のめぐみという店のすべて、ですのでそれでよいのですが、この紙を持ってしてどのように生きていきたいのか、どこへ向かって歩いていくのか、ハッキリした目標などは何一つなかったのでした。
ただただ、生きているこの素晴らしい紙たちと生きていたい。この紙たちと一緒に何処までも行ってみたい。この紙たちを人との間に置いて繋がっていきたい。私が何も知らなくても、直さんの紙と一緒ならそれが可能だろう、そう思っていました。その思いを今も抱いています。
この世になかった「紙のめぐみ」という店が、地球上に、誰かの意識の中に、存在し始めたのでした。
紙のめぐみの目を通した紙と手を、少しずつ必要としていただけるようになりました。
19年の間に、お客様が紙のめぐみを育ててくださいました。紙を扱う手となるよう機会を与え続けてくださいました。
現在、2、3か月おきにロサンゼルスへ向かう自分がおります。
直の紙「染描紙」と刷毛と「手」を携えて。
一歩一歩、歩いてきました。
今ここにいます。
「自由に生きなさい」という思いやりの中にいられると、面白いことが起こってきます。想像を超えてきます。
きっとここからの一歩一歩にも何かがあるでしょう。
「楽しいね。」
そう歩いていきます。
直さんの紙たちはライヴです。生きています。
生きているんです。
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