自然
今、真夜中、暗がりの中で本を読んでいます。
真夏の窓を開けて、裏山の虫の声。
網戸一枚隔てた夜風。
サワサワサワサワ、サワサワサワサワ
時折、風が降りてくる。
そして、サーーーッと雨が落ちて、緑と土の匂い湧き立つ。
ちょうど今読んでいたページに、左脳と右脳のことがわかり易く記されていました。
頭の中や思考を働かせ過ぎて生きるのではなく、『 いま、ここ 』を感じていられるように…を教えてくれる一冊です。
「 ……… いまちょっと周囲を見回してみてください。視野に見えるもの、人工物が多くはありませんか。…… 屋内にいらっしゃる方が多いかと思いますが、目に入るものって人間が造ったものばかりではありませんか。…… 人工物が目に入っていると、やはり左脳さんが活性化します。それらは明確に言葉で構成されているからです。わたしたちが直接意識しなくても、意識の水面下で左脳さんは視野に入ったものをすべて言葉に変換し続けています。逆に、森のなかや海の見える海岸、壮大な夕焼け空などを目にすると、右脳さんが活性化します。見渡す限りの木の葉が風に揺れているさまを見ると、身体の内側が変化するのを感じます。あの動きには脳のどこかのスイッチをオンにする効果があるようです。……… 」
【ネドじゅんさん著「左脳さん。右脳さん。」より。文中の…は、省略の意】
安全な部屋の中で腰掛けて外を感じながら本を読む私。これでは、左脳さんを静かにさせて右脳さんを活性化させる、とは言い難いかもしれませんが、思いました。
屋内で、家の中で、直さんの染め描かれた紙を目にしたり感じたりは、この本の中に書かれたどこかのスイッチをオンにする大いなる自然と同じ、そのように思いました。
美しい風景、愛おしい胸の痛み、芳しい香り、込み上げる何か、どこからともなく聞こえる声、温もり、それらすべてを知っている感覚。その感覚を思い出す。右脳さんが話し出す。
これが、私たち自身を知る旅ではないかと思います。
染め描かれた紙の中で、その感覚を少しずつ思い出す。
また一つ、また一つと思い出す。
時には、一瞬にしてブワッと思い出す。
これが、私たち自身を知る旅となるのではないかと思います。
耳の奥にはもう、虫の声とシーンという音しか聞こえてこない。
夏の夜の夢の時間。
いま、ここ。
直の紙の部屋にいる。いま。ここ。
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