思い出 Lille〜Antwerpen

京都に住まわれていらっしゃいましたフランス人のご家族。彼女の名前はNadine RIBAULTさん。紙のめぐみを何度か訪ねてくださり、ご自身の作品の額装をいつもご注文くださいました。フランスへ戻られてすぐに、リールの町で個展があるとご連絡をいただきました。展示する全ての作品は、紙のめぐみの額装と。はじめてのヨーロッパへの旅。日本語しか話せない私に対して、どちらを訪れても人々はあたたかく親切でした。
空いた一日、日本を発つ前日に紙舗直さんのスタッフからお聞きした「すぐ隣がベルギー、フランダースの犬に出てくるアントワープにある教会に行くといいよ」一切の情報の無いまま、早朝、リールの駅へ。8:08発 アントウェルペン行き (こちらではアントワープとは言わないのですよ、と駅の人) 、列車で2時間の旅。アントワープ駅に降り立ち、「アニメ、フランダース、ネロ、パトラッシュ…の、チャーチ」カタカナの単語で窓口に尋ねますと、ささっと地図を描いて教会の名前を教えてくれました。
"アントワープ聖母大聖堂"
ネロが最期に見ることの叶った、ルーベンスのあの絵が飾られていました。子供の頃に抱いた切なさが胸を焦がし、空には鐘の音が響き渡ります。
帰りの列車からの空、夕日に向かって行く。空は 雲は やっぱり染紙。直さんはたくさんの空を見ているから あの染めができるのだろう…そして、いろんな空を私自身も見ることができるようになったから それが少しはわかるのだろう…
夕べ、真夜中につけたフランス語のテレビ。
一枚を仕上げる為に その一枚に向かう画家
一枚を仕上げる為に 百万枚に100% 向き合う紙屋
私の紙は この紙なんだ。

黄昏れの帰路を懐かしく思います。


0コメント

  • 1000 / 1000