紙の洞窟に眠る
2015年11月、直さんは紙と共にオーストラリア縦断の旅をされました。日が昇ると灼熱の一日となるそうで、朝の冷んやりとした空気のエアーズロック(地元ではウルルと呼ばれるそう)、大きな椰子の木の下、赤土の上で紙は広げられました。その時に生まれたエネルギー溢れる紙の展覧会を紙のめぐみでも見せて下さいました。
旅の始まり、一枚の写真。オパールの採掘跡地に作られたというホテル。部屋の壁から天井にはアールに削られた痕がそのままに残り、しっとりと見える壁肌は、地球の胎内、洞窟の中に眠るよう。
今も残る洞窟をそのまま、お店や住居にされているスペインの崖沿いの町をテレビで観た事があります。その時も、いつの日かここで、チェロを聴きながら「紙のめぐみ」をやりたいと思い描きました。
このたび自宅の一室、壁の染め紙を貼り替えました。黄土色、土の壁。紙の洞窟の中に眠り、目を覚まします。
そう。オーストラリアはオパールの洞窟の中に眠り、スペインはチェロの洞窟の中に目を醒ますように……
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