旅 その一


旅に出た。

家から片道430㎞の道のり。
辿り着くその時、日の出の刻となるように、余裕を持って8時間をみた。

暗い中、一人車を走らせる。
『 フレシマ 』まで。

正確には、海岸線のフレシマを臨むことのできる根室は落石岬まで。

春先とは言え、つい何日か前にも数日にわたり雪が降った高速道路は50キロ規制が敷かれ、一般道においては、溶けて再び凍った道はガタガタと、時々ハンドルをとられた。
道東へ向かう高速道路を下りて、初田牛辺りから、JRの単線線路と平行して続く道を走る。
以前にも走ったことがあるこの道。日中も行き交う車の少ない、木々の中に真っ直ぐ延びる道をひたすらに行く。
懐かしい気持ちの中、先にある岬を随分と手前にして空が白み始めた…
行く道の先、オレンジ色が顔を出す。
車を停めて、日の出を収めたその時、右へと伸びる田舎道に気付く。現在地を確認、ここからは見えない別当賀駅の辺り、まさにこの道を行けばフレシマ。

日の出の刻、図らずも、そこへと続くための分かれ道の前に立つ…


昇り始めた今日の陽と、
下弦の月と、
フレシマへと続く道…




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