秋の夜の一頁
手漉き紙で仕立てられた
『カミチカラノート』
今日一日、
私がこの直さんの染め描く紙と、直さんに出会った時の気持ちを、なぞるように思い出していました。
忘れていました。
当時、自分がどれ程悲しみや寂しさを堪えていたのかを思い出していました。
そして、この、優しさや強さに溢れた直さんの作品の中で、それらは溶け去っていったことを、ありありと思い出していました。
しかしながらそこにはまだ、力無くして心の窓を閉めたままの私がおりました。
もう一度、この直さんの作品の中へと連れ出しました。
私の、紙のめぐみの、『直さんの紙』を皆さんにお伝えしたいというその原点が、そこにありました。
穏やかさ優しさ、癒される、力強さ、勇気が出る……感じる思いはご覧になる人それぞれでしょう。ただ、ただ、作品の前に身を置いて欲しいという願い。動く心に動揺するかも知れない。喜びがあるか、悲しみ憎しみがあるか知れない。どんなでも、いいんだよ、大丈夫。窓を開けられて心が動くことって、素晴らしいよ。
力を無くしたあの時の私が、今は、この手を使って、直さんの染め描くこの紙たちをお伝えしていく仕事をさせていただいているのですから。
そんな今日一日を思い返しながら、『カミチカラノート』に心の内を記しておりました。
そして、いつも相談に乗って支えてくれる夫への感謝を綴ろうとページをめくりました。
涙が溢れました。
そこには、カミチカラノートを作った際に意図して挿入された、白ではないノートのページがありました。直さんの想いに、再び胸が熱くなりました。
心は、大いに動かされました。
こんな風に心動くことを、きっと、あの時の私は幸せに見ていることと思います。
My カミチカラノート 表紙
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