紙の白い命には

 「自由に生きなさい」という

  思いやりがある 

            直  




穏やかさを

楽しさを

優しさを

しあわせを

愛を感じることを



どんな出来事にも、捉えられる二つの側面があり、

そのどちらを意識におくか

それを選ぶことができる


良い気分となる思考

そうでなくなる思考



生きているよろこびを




紙の白い命の上に生まれた

どこまでも心を広げてくれるような刷毛ストローク


紙の白い命の上に生まれた

それは人生の春の光


直の紙「染描紙せんびょうし」の上で繋がる

私たちの心と心

豊かなる心



心に生まれた新しい気持ちを大切に・・・




黙祷








心をおだやかに保つ

静かに、ゆったりと落ち着いて


そうして深くなる呼吸に耳を傾け、力を抜き、身を委ねる

そうすると、体の奥の方から満ち満ちるあの感覚へ

しあわせという名のあの場所へと辿り着く


友は、子供のころに見たその夕陽を思い浮かべると辿り着くことができるそう

私は、夏の夜の虫の声

静かに思い、体中に羽音をよみがえらせるといつでもあそこへ行くことができる

行く、辿り着くというより、『ここにふたたび』という感覚

あたたかい気持ちはここにあったという感覚


昨年の暮れ、3週間ほどロサンゼルスで仕事をしていた時です。

予定よりも予想よりもかなりハードスケジュール、ハードワークで、多く細かな紙貼りでのお仕立てを目の前にした夕刻のこと。

ギャラリースタジオの中ではありますが、あちらでも季節は冬

頭はフリーズしたまま、黙々と手を動かし、貼ることに没頭するこの耳に聞こえてきました。


Ririririririri Ririririririri…



そう、秋の虫の声です。

体中によみがえります。あのしあわせな愛の感覚です。生命のエネルギーと呼べるような、源ソースと呼ばれるような、そういったしっかりと安定した活力と繋がっているような感覚です。

大丈夫だよ。心配ないよ。そう言われているようでそんな中でも自分を保つことができました。そうして普段の3倍速くらいに手だけが勝手にしあわせに動いてくれました。


今 目の前で起きている現実、現状から少し離れて、耳を、心を澄ます

眠ってしまうのもいい、猫を撫でるのも、しあわせなことを妄想するのもいい

思考することを休ませて

そうして自分の気持ちがほんの1ミリ軽くなるところへ

そこから広がる、次へと繋がる、いつかきっと


忘れないで

それはいつでもすでに叶って待っています。




2024年12月31日

紙舗直 直さんの『新月言』より


『 平和 祈り続ける 』




わたしの中をいつも平和に





夏の終わり頃、
5年ぶりくらいに、大熱を出した
風邪でも病気でも、もちろんコロナでもない
それでも大熱を出した
わたしは観念して眠り続けた
わたしのココロとカラダは、大熱を出すことによって観念させ、幾日も思考や行動を休ませた

眠っては目を覚まし、ぼんやりしては眠りに落ちる
それを幾度もくり返した

天井から吊るしたあかりのための薄い紙
1メートル × 2メートルのその紙を、竹ヒゴの輪っかにくるりと巻いてピンチで留める
眠るベッドの真上に揺れている

手漉きの生成りの白い海、ところどころ、
泳ぐように染め描かれて揺れている
窓を開けて、
夏の風と夏のにおいに揺れている

熱でぼんやりとした頭、
眠りから覚めてぼんやりとした意識、
揺れている… 
揺れている…

それを見てた
揺れているのを、
ただ、ただ、見ていた
そして、その下で、ひたすら眠った


あの夏の終わり、
かけがえのない時間をもらったように思います。
自らそうしようと思って得ることのなかなか叶わない時間、そのように思います。
観念するほどの大熱を出してくれたように感じられたから、私は私に感謝しました。
私の中が一度空っぽになって、また宝物が詰まったように感じています。


ただぼんやりと眺めた光景、
ぼんやりと浮かんできたあの感覚、

忘れないだろうな…



 Come this way 
     Come this way 

しあわせな声によばれて目を覚ました
目の前に、広がっていた


秋の夜明けの西の空
雨上がりの明け方
雲の隙間に
ほんのひととき

その瞬きに出会える
そうなっているよ

Come this way
    Come this way ....




 『 自然界には直線はない 』

直さんがおっしゃっていました。
草木の枝葉、茎、山の稜線、地平線水平線、波、あらゆる…
手漉き紙の持つ優しさや懐かしさ、
自然染料を用いて直さんが染め描く刷毛の、心の跡
水で切る、でんぷんのりで貼り重ねる
人の手から生まれるもの
日々のごはんでも、雑巾がけでも、
ものを作る、する、ことのひとつひとつ

人の心を含めた自然界には、まぁるくまぁるくの優しさが包み含まれていて、そうなっているよ。という懐の深さがあるように思います。
いつでも肩の荷物を下ろしてもいいし、いつでも安心して軽やかに、楽しんでいいんだよ。と思います。

裏山の葉が秋の風と光に揺れる
もう遠くへいってしまった虫たちの声
高く澄み渡る空と果てしない宇宙

もしそれが我がそばに見当たらなくとも、私たちの心は、そこに繋がっていて、目をつむればいつもそこにいることができます。

直さんの染め描く紙がそのことと同じように、心の中の大きな宇宙へと繋がっています。


まいにちまいにち
ひびひび
いまここ

直線は見当たらない

まぁるい世界に生きているように感じられてほっとします。




八月一日早朝、エゾゼミ大音量から始まった。
ふたたび、蝉たちが鳴き出した。
ハルエゾゼミたちの声が樹々の深い湿気の中へと静かに消えていった日々から、今朝また、一斉に戻ってきた。


椅子に腰掛けて吸う息と吐く息とを、その声に合わせてみる。
目をつむって、その儚くも美しい大合唱と重なってみる。

無上の歓びの声に聴こえてきます。

その横には、笑みをたたえたような八月の一枚。

喜びもなにも、私の心ひとつ。


素晴らしい夏をお過ごしください。。。





7月のはじめ、店先のジャングルの中にある野葡萄に、芥子粒ほどの実がつき始めました。
いろいろな色の実をつける。淡い紫や乳白、瑠璃色。。。そう、瑠璃色の地球の色。

お隣りの大家さんの庭と畑の辺りも、良い具合に紙のめぐみのジャングルと化しています。



六月、夏至の月が巡ってきました。
太陽の昇る位置が真東に近づき、午前3時半を過ぎるころには空が明るくなってきます。
木々草々の緑も雨粒も光り美しい季節です。

ガラスのピラミッドでの染描紙展が今年もいよいよ始まります。
与那国、礼文利尻、渡名喜島で生まれた染描紙の光と風とが吹き渡ります。
深呼吸しにどうぞお出かけください。

会期中、坂本直昭さんはお昼頃より会場にいらっしゃいます。



 坂本直昭 染描紙展

 6月5日 (水) 〜 9日 (日)

 午前9時〜午後5時
 最終日 午後4時まで

 ガラスのピラミッド 

 札幌市東区モエレ沼公園1-1
 ガラスのピラミッド内 2階
 






刻ノ大陸 Ⅴ  『 染描 』

刊行・初展示のご案内

坂本直昭さん著、「刻ノ大陸」も昨年で5冊目となりました。1年に1冊、20年間、制作することを目標にして2019年から始めました。発表が遅くなりましたが、このモエレ沼での染描紙展で初披露することが叶いました。ご高覧いただければ幸いです。


発行日  2023年6月7日
文・染描 坂本直昭
印 刷  紙舗 直
限 定  20部
装 幀  折れ本仕立て
企画・仕立て・発行 紙のめぐみ
頒 価  15,000円 (税込)





この丸い地球の一つに生まれ、
今という時に生きる皆さまへ

直さんの紙の中にいて、縄文の人々は遠い昔の記憶ではなくなりました。
今もイキイキと生きています。
直さんの紙の中にいて、アマゾンやアラスカやウルル、古い壁画やアボリジニの赤い岩絵は呼吸をし、新しい世界を見せ続けてくれます。
地球上の距離も時間もなくなりました。
直さんと紙は今、与那国島を旅しています。そして礼文島へ。

『 日本人より地球人たれ 』

直さんの言葉は、紙の中に在ります。

紙のめぐみ 岩根めぐみ



坂本直昭 染描紙

『 与那国から礼文へ 』
 ~ 列島夢想 ~

6月5日 (水) 〜 9日 (日)
午前9時〜午後5時
最終日 午後4時まで

モエレ沼公園 ガラスのピラミッド 
札幌市東区モエレ沼公園1-1
ガラスのピラミッド内 2階
アトリウム2、スペース2




 坂本直昭 染描紙


 与那国から礼文へ 


 列島夢想


 人類二十万年、一粒ノ命

 手漉キ紙ト共ニ列島ヲ歩ク

 染ミル想ヲ紙ニ染メ

 描ク夢ヲ紙ニ描ク

 与那国カラ礼文

 礼文カラ与那国

 無尽ノ夢想

 地球四十六億年、一光ノ時


 直




 6月5日 (水) 〜 9日 (日)

 午前9時〜午後5時
 最終日 午後4時まで

 ガラスのピラミッド 

 札幌市東区モエレ沼公園1-1
 ガラスのピラミッド内 2階
 アトリウム2、スペース2




若い青い新芽の季節です。
北海道の木々にやわらかな葉が広がり始めました。
青い空にキラキラとうれしそう。
暦も爽やかな青色です。

4月の終わり、はじめてロサンゼルスへ飛びました。紙と糊と刷毛を持って。
数年前より、紙を貼って仕上げるテーブルの製作依頼をいただいています。
これまでのやり取りはパソコンの中だけでしたが、直接にお会いして目を見て空気を感じてお話しができたことは本当に良い経験でした。
英語力、対話力、伝達力、あらゆる力が皆無であります。だけど、紙が間にあれば大丈夫。肌で感じることが自分に合っていると実感しました。

これからも紙と共に、どこへでも飛んで行き、帰りたいと思います。